結婚のもつ重み

2011.09.01

花嫁行列が家を出るとき、また婿の家に入るとき、何らかの形で火がかかわっていたことは、『隋書』倭国伝の「婦、夫家に入るに必ずまず火を跨ぎ、すなわち夫と相見ゆ」という記事からも知られていた。江守五夫は、花嫁が火をまたぐことのほかに、婿の家の両側に燃される松明があり、嫁がその間をくぐるという行為をともなうことは、民族学的には北方系文化要素によるもので、日本の習俗は韓国をはじめモンゴルを含めた地域の中に位置づけられる点を指摘している(江守五夫「婚姻の民俗から見た日本」、『成城大学民俗学研究所紀要』第二〇集、一九九六年)。花嫁が輿や馬にのってお嫁入り、という嫁入り行列の風景は、今はたんに懐かしみの対象でしかないが、そんな風景にも、結婚のもつ重みが示されている。