ヘンリー・フォードが米デトロイトの工場で自動車の大量生産に乗り出し、最初の1台が完成したのは1908年9月27日だった。世界で初めての量産市販車、T型フォードが産声を上げた記念すべき日だった。それから100年が経過した。日米自動車摩擦が激しかった1980年代後半、デトロイト郊外にあるフォード博物館を訪ねた。そこでT型フォードを見た。窓ガラスはなく、タイヤはオートバイのように細い。それでもエンジンを積み、馬などの力を借りずに、どこにでも自由に移動できる。
[参考]
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100年前、その手段を獲得した人々の興奮を想い起こした。考えてみれば、車輪が四つで、エンジンで動く、という基本的な構造は、今も変わっていない。T型フォードを出発点として、自動車は世界中に普及した。移動の主要な手段として、国民の豊かさの象徴として、人々の生活に溶け込んでいった。現在、日本での乗用車の保有台数は5700万台(2006年末)に上っている。マイカーは1世帯に約1・1台が保有している勘定だ。しかし、その自動車が転機を迎えている。日本では、国内販売が低迷している状態が続いている。若い世代が車に興味を持たなくなった、とも指摘されている。なぜ、なのか。近年の原油高騰を受けてガソリンが値上がりし、自動車を維持する費用がかなり高くなっていることも影響している。自動車離れに歯止めがかからない。