1986年7月施行の労働者派遣法は、業務の範囲についてポジティブリスト方式を採用した。この方式は、あらかじめ派遣をしてもよい業務を法令で定め、それら以外については派遣を禁止するものである。当時の産業界は、年功制で終身雇用体制が主流であり、派遣労働はあくまで派遣先の常用雇用体制を崩さない範囲で認めるべき、との考えが主流であった。そのため、派遣は専門的な知識と経験を必要とする業務が条件であり、業務名も「事務的業務」などのような抽象的な表現ではなく、具体的な表現が採用されたのである。法施行当初は13業務であったリストは、間もなく16へと拡大、さらにバブル不況期に26業務にまで拡大された。26業務は改正以後の今日も引き続き採用されている。ところが、1999年12月、これまで採用されてきたポジティブリスト方式をネガティブリスト方式へと転換する抜本的な改正が行なわれた。この方式は、派遣をしてはならない業務をあらかじめ法令で定め、他の一切は自由化するというもの。つまり、従来の26の業務をそのままに採用しつつ、26業務以外の業務で「臨時的・一時的」であれば業務の専門性、経験性を問わず認めたのである。これは、派遣の対象業務を原則自由化とするILO(国際労働機関)の条約成立といった国際的な潮流や、国内の長期不況などにより、政府の雇用政策が見直され、雇用の確保を優先させた結果といってよい。このように、労働者派遣法は2004年3月施行の新改正法を含めて4回改正を繰り返し、そのつど規制が改革されて今日に至っている。